電車の中で揺られる人の多くは、携帯電話と睨めっこ。音楽を聞いたり動画を見たり、あるいは調べ物をしたりと様々です。かくいう私も、一人の時は度々携帯電話を片手に、降車駅までの時間潰しをしてしまいます。だからこそ文庫本など紙の書籍を開いている人がいると、とても気になってしまうのです。
ある日、私の目の前に座る女性が本を読んでいました。偶然見えた本のタイトルが私がよく読んでいた本だったので、思わず声が出そうになりました。この人はどこまで読んだのだろう、読むのは何度目なんだろう、登場人物の誰が好きなのかな、なんて気になって心がソワソワします。ですが相手はこの時初めて見た女性。気軽に話しかけられるわけもなく、失礼と思いながらもチラチラと本を見てしまいました。
このことがあってから、電車の中で特に文庫本を読んでいる人がいたら自然と目で追うようになりました。しかし携帯電話がますます発達しているこの時代に、電子書籍ではなくあえて紙の書籍で読むということは、それだけ魅力があるということかもしれません。公共の場で紙の本を開いている方はやはり少数で目立ちますし、シャンと背筋を伸ばして読書されている姿は素敵ですよね。