先日、電車で本を読んでいたら、こんな場面があったんです。主人公が子供の頃のことを回想する場面です。母親についた嘘を問い詰められて、泣きながら本当のことを話す場面です。でも、そこには親の愛情がすごくよく表れているんです。そして、主人公はそのことを大人になった今でも母親とのエピソードの中で何より心に残っているんです。それは自分がついた嘘への罪の意識からかもしれません。
実は私にもよく似た経験があるんです。そして、やっぱり同じように今でも罪の意識もありますし、幼い日の出来事なのに鮮明に覚えているんです。それは私が小学校の低学年の頃のことです。学校からの帰り道にすごくキレイなお花畑があったんです。幼いながらも、それは誰かが作っているということはわかっていました。でも、あまりにキレイだったから、つい出来心でいくつかを摘み取ってしまったんです。家に持って帰ってどこかに飾ろうと思っていました。もちろん、道端の草花じゃないことはすぐにバレます。「そのお花、どうしたの?」と聞かれた私は、お花畑のおばさんにもらったと嘘をつきました。そしたら、母は「それは良かったわね。でも、それなら一緒にお礼に行きましょう」と言ったのです。それは困ります。勝手に摘み取ったんですから。よく覚えてないけど、はぐらかそうと何か言ったと思いますけど、わかっていたんでしょうね。結局、白状して一緒に謝りに行きました。でも、母は頭ごなしに叱ったりしませんでした。だからこそ余計に自分がいけないことをしたんだと反省したんです。それは忘れることができない出来事として今でも心に残っています。