部屋のクローゼットを整理していたら、何年も前に購入した音楽雑誌がたんまりと出てきました。雑誌を読みながら、特に目に止まったのはロックフェスティバルの特集でした。大好きだったバンドが雨に打たれながら演奏している写真はいつ見てもカッコよくて、会場でライブを体感したような気分にさせてくれるものです。そして野外で音楽を聴くあの開放感と気持ち良さを部屋の中で再確認しながら、あっという間に時は過ぎていったのでした。
さてロックフェスと言えば忘れられない逸話があります。それは友達が話してくれた怖くもあり驚きの体験談です。ロックフェスティバルへ行くことが恒例行事となっている彼女は、会場近くにある知り合いが購入したリゾートマンションに毎年宿泊しているそうです。かなり古い建物で普段はめっきり人が滞在することも少なくなったこのマンションには、こうしたイベントがある時だけ数少ない宿泊客がやってくるようだと話してくれました。
ライブが終わり夜遅くに友人がその建物の玄関に辿り着いた時、大きくて茶色いものを目撃しました。およそ140センチはありそうなその物体は背中を丸くしてモソモソと動いていたそうです。友人一行が目の前の物体を少し離れたところで観察していたところ、クマだということが分かったのでした。管理人さんに聞いたところこの一体ではよくクマが出没するそうで、そっとしていれば特に害は加えないとアドバイスをくれたそうです。滞在中2回ほどそのクマに遭遇したことを、面白おかしく話してくれたためか私の記憶に色濃く残り続けているのでした。とにもかくにも彼女が無事でいてくれて何よりだと思いながらも、この体験談はロックフェスについての書籍を読む時これからも決まって思い出すような気がしてならないのでした。